ガス密度
高圧送電 - トラファグ(Trafag)のガス密度モニターで安全性と信頼性を高める
高圧送電 - トラファグ(Trafag)のガス密度モニターで安全性と信頼性を高める
トラファグのガス密度モニタリング関連製品では、リファレンスチャンバーや音叉型水晶振動子を用いたトラファグ特有の計測原理を採用、いずれも高い信頼性と高い精度でのガス密度のモニタリングを実現します。 さらに、温度や圧力が変動するガス容器でも完全なガス密度モニタリングが可能であり、保守点検作業も電力設備を停止させることなく行えます(要オプション)。また、より厳しい環境規制への対応と環境配慮型の代替絶縁ガスの使用という技術的課題の解決に向けて既に準備を始めています。
1980年代サッカー場ほどの大きさであった気中絶縁スイッチギア(AIS)は、現在ではその10%程度のスペースしか必要しないまでに小型化が進みました。この技術革新の裏にはトラファグの革新的なガス密度モニターの存在があります。スイッチギアの高電圧部品を絶縁性の高いガスを適度に封入したガス容器内に入れることで、短絡や故障アークを防止または消弧させる技術が確立したためです。
六フッ化硫黄(SF6)は、高電圧および超高電圧(66~1,000 kV以上)において優れた絶縁性能と消弧能力を発揮しますが 、CO2の23,500倍の温室効果を持つため機器からのガスの漏洩は許されません。 世界各国で、SF6ガスの大気排出に関して厳しい規制を課しています。 1980年代にTrafag AGは大手スイッチギアメーカーと協力して高精度でガス密度をモニタリングする為のリファレンスチャンバー方式を開発しました。これは、従来の圧力計ベースのガス密度計より高い精度で誤警報の回避に貢献しています。
今日、電力用の高圧スイッチギヤは新たな課題に直面しています。 電力会社は安定した電力供給に努めており、これまでの様な警報や装置の緊急停止だけでなく、ガス密度センサーによる連続的なガス密度モニタリングや予知保全への要望が高まっています。その一方で、スイッチギヤの小型化は更に進み、絶縁ガス容器も小さくなり絶縁距離が短くなる上に、使用する絶縁ガスもSF6よりも環境に優しい代替ガスに置換されていくでしょう。トラファグはその技術革新に対応した解決策を提案し続けます。
空気絶縁開閉器(AIS)(写真上)は、設置場所のスペースが限られた場所では、非常にコンパクトなガス絶縁開閉器(GIS)(写真下)に取ってかわりました。
正確なガス密度モニタリングにより、機器のダウンサイジングを実現
トラファグのガス密度モニターは、アラームポイントの精度を最大限高くできる様に設計しています。 ガス密度のモニタリング精度と信頼性が高ければ高いほど、安全のための裕度を小さくする事ができます。したがって、設備内の絶縁距離を必要最小限に近づける事ができる為、設備のダウンサイジングが図れ、スイッチギアの敷地面積も小さくする事が可能です。精度の低いガス密度モニタリングでは設備を大きくする必要がありますが、正確なガス密度モニタリングにより、設備のコンパクト化とそれによるコストダウンや、設備設計の自由度を広げることが可能となります。
圧力(ガス密度)の損失は、電力設備の安全性を脅かします
ガス絶縁高電圧機器の機能と安全性は、絶縁ガス容器内で適切なガス密度が保持されている場合にのみ保証されます。またSF6ガスの漏洩は機器の機能と安全性を脅かすばかりではなく、環境規制にも違反します。 したがって、規制要件の中にSF6ガス容器内のガス密度を常にモニタリングする様に定められています。SF6ガス容器は常に密閉されている必要があり、ガス密度モニターも常に定められた精度で機能しなければならないのです。
電力機器における絶縁ガス密度の安全かつ正確なモニタリング:環境への負荷、操作の安全性やメンテナンスのし易さ、様々な規制 - これらは高電圧スイッチギア等の電力機器が直面する課題の一部に過ぎません。
高電圧技術における絶縁ガス密度の正確な-つまり安全な-監視と測定:環境の影響、操作上の安全性または効率的なメンテナンス、規制 - これらは、高電圧開閉装置のオペレータが直面する課題のほんの一部に過ぎません。
環境にやさしい絶縁ガス(SF6代替ガス)
一般的に絶縁ガスとして使用されているSF6 ガスは、地球温暖化を引き起こしている温室効果ガスの0.5%の割合を占めており、多くの企業は地球に優しい代替ガスへの切替に努めています。 また、世界中で稼働している数十万台の既設のスイッチギヤ等もその対象となります。 電気絶縁用のSF6 代替ガスでは、ガス分子の種類と密度だけが変わります。 トラファグは、現在使用されている全ての代替ガスに対応する、既存の規格に準拠した適切なガス密度モニターをお届け可能です。 トラファグのガス密度モニターは、お客様の使用される絶縁ガスに適したリファレンスガスを指定のガス圧で封入して、使用可能な状態でお届けします。
温度補償型圧力計は不正確すぎる
温度補償型圧力計は、ガス密度モニタリングの標準的な手段でした。ブルドン管とバイメタルによる温度補償というシンプルな構造のため、非常に安価であるが、その分精度に課題がありました。 ブルドン管でのガス密度モニタリングでは、その都度温度補償をしなければ正確にモニタリング出来ません。温度補償に用いるバイメタル素子は、絶縁ガスの種類に応じて適合するものでなくてはならず、適合するものを選定していても、大きな温度変動に対しては追従できず、測定精度は低くなってしまいます。 特に高温または低温の範囲では、温度補償型圧力計の精度低下は過度に大きくなり、誤警報の原因となる可能性があります。
高精度なモニタリングが可能な、リファレンスチャンバー方式
従来の密度計の不正確さを補うため、トラファグは圧力スイッチ技術に基づくリファレンスチャンバー原理を開発しました。
シンプルで独創的なトラファグのガス密度モニタリング方法:ガス密度モニターでは、スイッチギヤで使用している絶縁ガスと同じ特性を持つリファレンスガスをリファレンスチャンバーに封入します。 リファレンスガスとスイッチギアの絶縁ガスは熱的に結合して同じ温度になっているので、温度変化による圧力の変動は原則生じません。 その為、温度補償をする必要がなく、温度補償付の圧力計よりも正確で信頼性の高いモニタリングが可能となります。
現在、第四世代のリファレンスチャンバー方式のガス密度モニターが市場で活躍してます。こちらの製品はメンテナンスフリーで耐用年数25年以上という特徴を有しています。モニタリングしているガス容器で絶縁ガスの圧力低下が生じた場合、リファレンスチャンバー方式では、予め設定したスイッチポイントをマイクロスイッチによって機械的に検知します。最初のスイッチポイントでは、絶縁ガスの補充を促すアラームを発信しますが、ガスの漏れ等に因り急速に絶縁ガスの圧力が低下した場合はシステムを緊急停止させる為のアラームを発信します。これは正確で高い信頼性を持つ複数のマイクロスイッチのスイッチングによって可能となります。
詳細情報 高精度なモニタリングが可能な、リファレンスチャンバー方式:
リファレンスチャンバーの原理を記しています。 トラファグのガス密度モニターに組み込まれ、スイッチギヤが安全に安定して稼働できる様にガス密度をモニタリングします。
水晶振動子によるガス密度の常時モニタリング
近年、電力業界ではSF6 ガスが大気放出された時にすぐ対処出来る様に、ガス密度の変動を常時モニタリングし、リアルタイムな情報が得られるシステムの需要が高まっています。それには、設備の一般的な問題を早期発見し、ガスの補充やシール材の交換などを適切に行える、予知保全の観点も含まれています。
従来のガス密度測定は、ガスの温度と圧力を測定したデータから換算するのが一般的でした。 トラファグは時計で使われている水晶振動子を用いることで、ガス密度測定に革新を起こしました。気体中の水晶振動子は気体中に存在するガス分子の数で減衰し、減衰の度合いは密度に相関します。この革新的な測定原理は、従来の温度と圧力から換算する方法よりも、正確で安定的なガス密度の常時測定が可能です。
現在では、ガス密度モニターの4台に1台は、ガス密度を常時モニタリングする為の水晶振動子式のガス密度センサーを搭載したハイブリッドタイプとなっています。出力信号はアナログの電流出力、またはデジタルのModbus出力があり、出力信号からガス容器内の絶縁ガスの量を計算し、ガス量に応じた処置を行う事がタイムリーに行えます。
詳細情報 水晶振動子によるガス密度の常時モニタリング:
水晶振動子を用いたガス密度センサーの仕組み。 雰囲気中のガス分子量による、水晶振動子の減衰から分子の量(密度)を計測します
補充およびテスト用の一体型バルブで設備停止ロスをゼロへ
ガス絶縁スイッチギヤの定期点検は、欧州のFガス規制をはじめ、各国の規制で定められています。これによると、2017年以降に運転開始した設備で、22kg以上のSF6ガスを含む場合、6年ごとに密度モニターの点検が必要ですが、すでに多くの電力事業者は、2~4年ごとに点検を実施しています。点検実施の際には、ガス密度モニターは検査の為一度取り外す必要がある為、設備を一旦停止して絶縁ガスを回収する必要がありました。
トラファグは、システムを停止することなく設備を稼働させながら定期点検を可能にする一体型バルブを開発しました。 ガス密度モニターは、補充およびテスト用のバルブと一体化しているため、ガス漏れの心配はありません。 この一体型バルブにより、設備を稼働しながらの定期点検が可能となり、必要に応じて設備を停止することなくガスを補充することも可能になります。
通常、テスト用のバルブは閉まっており、ガスが外部に漏れない様に密閉されています。 定期点検用の試験機器を接続すると、試験機とガス密度モニターの計測部が直結されます
このトピックについて何か質問はありますか?
Typical applications for SF6 and alternative insulating gas monitoring
- Gas-insulated switchgear (GIS) and switching stations
- Circuit breakers (generator, live and dead tank)
- Gas insulated transmission lines (GIL)
- Gas insulated transformers (GIT)